新しい点数計算方法を考える④

2020年3月22日

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残る問題の解決

点数の上限

リーチ麻雀では13翻以上または役満で点数は飽和し、上限を迎えます。その理由は、13翻以上の翻数は高すぎて成立する可能性が極めて低く点数を設定する必要性が低いからと、作れる可能性が低くそれぞれの作成難易度のばらつきが大きい役満それぞれに個別の妥当な点数を与えることは困難であるからだと思われます。

綾目麻雀でも点数に上記理由から点数に上限を設けるべきだと考えます。

その上限は100点に設定します。なぜなら、私たちは小学生の頃から100点満点のテストに慣れ親しんでいるからです。

100点でなければならない理由はありませんが、私たちの一般的な習慣と照らし合わせれば、100点を上限にするのが馴染みやすいでしょう。

9翻以上・役満が最大

前回の点数表を見れば、9翻のときに100点となることが分かります。そこで、9翻以上と役満のときの点数は100点とします。

リーチ麻雀の点数との比較

ここで改めてリーチ麻雀の点数の近似である「補正」とこれまでの中でもっともよいと思われる点数計算方法を比較してみようと思います。

ただし、点数が上限となる最小の翻数が9翻と13翻で異なりますから、より適切な比較のために、点数が上限となる最小の翻数で翻数を割ったものを横軸、点数の上限で点数を割ったものを縦軸にして比較します。割り算後の値をそれぞれ規格化点数、規格化翻数と呼ぶことにします。

規格化点数の比較

規格化点数・規格過翻数は役満を基準にした点数・翻数と言えます。ここで満貫の規格化点数0.25点のところを見ると、新しい計算方式にはちょうどそれに対応する翻数があることが分かります。 その翻数はリーチ麻雀と同じ4翻です。

4翻は役のバランスを考える上で重要です。そこで記憶しやすいよう「4翻4倍の定理」と呼ぶことにします。

4翻4倍の定理

リーチ麻雀において、切り上げ満貫を採用した場合、4翻の点数の4倍は役満の点数に等しい。
同様に、綾目麻雀において、4翻の点数の4倍は役満の点数に等しい。

次に、規格化点数0.5点のところを見ると、新しい方式では等しくはないが近い翻数があることが分かります。その翻数は6翻で、規格化点数は0.49点です。

これも記憶しやすいよう「2倍の定理」としてまとめておきましょう。

2倍の定理

リーチ麻雀において、8翻以上10翻以下の点数の2倍は役満の点数に等しい。
同様に、綾目麻雀において、6翻の点数の2倍は役満の点数にほぼ等しい。

加えて、1翻と4翻の比較くらいは覚えておきましょう。

4翻の点数の比較

リーチ麻雀において、 切り上げ満貫を採用した場合、4翻の点数は1翻30符の点数の8倍に等しい。
綾目麻雀において、4翻の点数は1翻の点数の6.25倍に等しい 。

これと4翻4倍の定理から、役満の点数は1翻の点数の25倍であることもわかります。ちなみに、それは0翻を計算したときの点数の100倍です。

ロンとツモの点数

これまでは単に点数だけを考え、ロンとツモの点数の違いには全く触れていませんでした。なぜなら、単純な比例計算から考えてきた流れの中で、ここに来るまでその違いについて触れる必要がなかったからです。

私はもっとシンプルで普及しそうな点数方式を目指しています。綾目麻雀の目的に沿ったロンとツモの点数配分は何でしょうか。

昔の麻雀ではロンの場合は放銃者以外の人も平等に払うルールだったようですが、私はロンでは放銃者一人払いという現在の方式を綾目麻雀でも用いてよいと思います。浅見了氏によれば、放銃1人払いというルールは、日本麻雀において技量性・競技性が飛躍的に増進した三本柱の一つと考えられるからです。

そう考えた上で、シンプルな計算方法はロンの得点はツモの得点に等しく、ロンは放銃者一人払いとし、ツモで一人が払う点数は(プレイヤー数-1)で得点を割った値とすることでしょう。

ツモで一人が払う点数を計算するために割り算をすると、これまでの点数計算式では小数点以下が出る場合があり極端に難しくなってしまいますから、掛け算で考えます。

すると、ツモで一人が払う点数を(プレイヤー数-1)倍した点数がロンで放銃者が払う点数と等しいとする計算方法が生まれます。

これらは式で次のように表せます。

\begin{eqnarray}(ツモでの得点) &=& (ロンでの得点) \\ &=& ( n – 1 ) \cdot (ツモで一人が払う点数) \\ &=& (ロンで放銃者が払う点数) \\ \tag{16} \end{eqnarray}

そしてツモでの得点を\(p\)と置き直し、これまでの計算方法を適用すると

$$p = ( n – 1 ) \lfloor x + 1 \rfloor \lceil x + 1 \rceil \tag{17}$$

となります。

親子の点数差を廃止せよ

リーチ麻雀ではこの(プレイヤー数-1)倍する計算方法は用いられていません。それは親子の点数差があるからです。原則として親の得点は子の得点の1.5倍、親の支払いは子の支払いの2倍となり、4人プレイでは整合性があります。

もちろん(17)式を変えて親子の点数差を考慮した計算式を作ることはできます。しかし、私は親子の点数差を廃止すべきだと考えています。これには三つの理由があります。

理由の一つ目は、自分の親のときに良い配牌が来るか子のときに良い配牌が来るかは偶然であり、点数計算では偶然性ではなく競技性が重視されるべきだと考えるからです。

麻雀は技能の差が出るまでに1000回以上半荘をする必要があるといわれています。また、競技性と偶然性の両方を重視する調合ルールにおいても、ゲームとしての目的に大きくかかわる点数計算や清算においては競技性のみを追求すべきだと思います。

それなのに、およそ1:3の割合で訪れる親か子かという偶然だけで得点差が生じるのは、技能がはっきりするまでの時間をより多く必要とし、さらにゲームとしての目的にマイナスの影響を与えると思うのです。

理由の二つ目は、親と子の関係は胴元と子という賭博の考え方に基づいているからです。

昔の将棋や囲碁は賭けの対象となっていましたが、今ではそのイメージは払拭され、どちらも世間的に高い地位を得るようになりました。

麻雀もそうなってほしいのですが、それには賭博としての考え方をできるだけ減らしていく必要があります。偶然性の要素が0になると普及しにくくなる可能性がありますから、バランスを考えつつルールを構築していくつもりです。その一つとして、親子の点数差は廃止できる要素なのです。

プレイヤー数が異なっていても同じように計算ができる

理由の三つめは、プレイヤー数が異なっていても同じように計算できるからです。

三人麻雀という麻雀の一種の点数体系は4人で行うリーチ麻雀と異なっています。これだけで理解すべき点数の数が増えます。さらに、三人麻雀は100点単位ではなく1000点単位という簡単化がなされている一方で、それゆえに1翻と2翻において、子がツモったときに他の親子がそれぞれ支払う点数が同じになるという奇妙な点数体系となっています。

(17)式ではすでにプレイヤー数が考慮されているため、新しい点数体系を覚える必要はありません。

初期の持ち点は役満の点数と等しい

点数計算と関連して、初期の持ち点を考えることは重要です。

リーチ麻雀では25000点を初期の持ち点とすることが一般的ですが、その点数を設定した理由は不明です。

よりもっともらしい点数を定めるとすれば、私の考える限りでは次の規則を適用するのが妥当だと思います。

初期の持ち点と役満の点数の同等

綾目麻雀において、初期の持ち点は役満の点数と等しい。

(17)式にこれを適用すれば、4人のときは300点、3人のときは200点、2人のときは100点が初期の持ち点になります。

ハコ割れ・天辺

話がそれるようですが、囲碁や将棋ではもう勝てる見込みがないと判断したとき、その対局を投了することができます。

一方で麻雀は4人で行います。もし投了できるとしたら、投了後の投了された3人間の順位は持ち点で決定できますが、投了する時点を変えることによって、その順位が決まるタイミングを任意に決定できてしまいます。きっとそのようなルールは不満をもたらすでしょう。したがって麻雀では投了を可能にすべきではないと考えます。

さらに、麻雀は囲碁・将棋よりも技能の差を明確にするまでにずっと多くの試合数を要します。単位時間の中でより多くの試合をして技能の差をより明確にするためには、ある程度点数差が大きくなり逆転の可能性が低くなった試合は終了して、次の試合を始めた方がよいでしょう。

投了がないルールで試合を終わらせる方法、その一つは持ち点に「ハコ割れ」や「天辺」を設け、点数差が大きくなった試合を強制的に終わらせることです。

ここでハコ割れを\(0\)点未満、天辺を\( 200 ( n – 1 ) \)点超と定めます。

ハコ割れは未満で、天辺は初期の持ち点の2倍を超える値で定めています。すると、初期の持ち点と役満の点数は等しいことから、 次の結論が導かれます。

役満における2つ目の最大の点数

綾目麻雀において、役満の点数は第1局で「ハコ割れ」や「天辺」を起こさない最大の点数である。

役満の点数は役の中で最大の得点であると同時に、上記の意味で最大の得点であるのです。

なお、順位を決めるため、持ち点はマイナスまで計算することとします。

点数のスケール

ここまでで計算式はほぼ完成しました。最後に残るのは何点単位で点数を計算するか、計算式上では(17)式の比例定数を自然数kとするとはkいくつか、という問題です。

自然な考えとして、もっとも簡単なのは1点単位です。しかし、リーチ麻雀では歴史的経緯により100点単位で計算されています。

綾目麻雀で100点単位を採用した場合のメリットは、リーチ麻雀と同じ100点単位であるためすでに麻雀を知っている人にとって分かりやすいことと、表示機能付き麻雀卓でも互換性が保たれるということです。

リーチ麻雀は普通25000点が初期持ち点ですが、 一般的な麻雀卓は30000点を初期持ち点とした場合もプレイできるように点棒が用意されています。仮に綾目麻雀の点数を1点単位だすると、最大は300点ですから、点棒の点数をリーチ麻雀の100分の1として数えればそのまま支障なく利用できます。ところが、表示機能付き麻雀卓は通常点数の十の位と一の位の「00」を消すことができないため、1点単位では表示と点数が100倍異なってしまいます。「00」を無視して読めばよいですから事実上問題はありませんが、気になる人はいるでしょう。

他の100点単位のメリットは、精算後の点数と混同する可能性が低いという点です。

精算後はゲームの成績として+32や-25といった点数がそれぞれのプレイヤーに割り当てられます。この点数は1点単位です。もし1局が終わったときに計算する点数も1点単位だとしたら、プレイヤーに表示された「+32」という数字がどちらの数字かすぐには分からなくなってしまいます。

もし1局が終わったときに計算する点数が100点単位だとしたら、 十の位と一の位で「00」を構成しているかどうかでほぼ見分けられます。仮に、精算後の点数が十の位と一の位で「00」となっていたとしても、そのそのせいで見分けられない確率は200分の1以下です。

以上の点から、綾目麻雀では100点単位で表題の点数を計算することにしました。

まとめ

最後のまとめです。

綾目麻雀の点数計算式と恒等式

これまでの考察を経て、綾目麻雀の点数計算式を下式で定めることにします。ただし、役満と9翻以上を区別せずいずれも\(x = 9\)とみなし、\(x\)は1以上0.5単位です。

綾目麻雀の点数計算式

$$p = 100 ( n – 1 ) \lfloor x + 1 \rfloor \lceil x + 1 \rceil \tag{18}$$

これのグラフは次のようになります。

綾目麻雀における翻数と点数の関係( n = 2 の場合)

これに関連する点数を下式で定めます。

綾目麻雀の点数計算式に関連する点数

最初の持ち点     :\(10000 ( n – 1 )\)点
ハコ割れを起こす持ち点:\( 0 \) 点未満
天辺を起こす持ち点  :\( 20000 ( n – 1 ) \)点超

さらに、最大の点数に関して次の恒等式が成り立ちます。

綾目麻雀の最大の点数に関する恒等式

\begin{eqnarray}
&&(終局時に入手できる最大の点数) \\
&=& 10^4 \cdot ( n – 1 ) \\
&=& (役満の点数) \\
&=& (9翻以上の点数) \\
&=& 4 \cdot (4翻の点数)\\
&=& 25 \cdot (1翻の点数)\\
&=& 100 \cdot (0翻の点数)\\
&=& ( n – 1 ) \cdot (ツモで一人が払う最大の点数) \\
&=& (ロンで放銃者が払う最大の点数) \\
&=& (第1局でハコ割れや天辺を起こさない最大の点数) \\
&=& \frac{ 1 }{ 2 } \cdot (天辺を起こさない最大の持ち点) \\
&=& (最初の持ち点)\\
&=& \frac{ n – 1 }{ 12 } \cdot (一般的な麻雀セットに用意されている合計点数) \\
\tag{19}
\end{eqnarray}

1つずつより合理的な点数計算を求めていくと、このように秩序ある恒等式が得られたのです。混沌とした既存のリーチ麻雀では得られない関係式です。

私は、この点数計算方法を用いた綾目麻雀を広めたいと思っています。

点数表

参考までに、点数表を示します。

翻数 点数
2人プレイ 3人プレイ 4人プレイ
1 400 800  1200
1.5 600 1200  1800
2 900 1800  2700
2.5 1200 2400  3600
3 1600 3200  4800
3.5 2000 4000  6000
4 2500 5000  7500
4.5 3000 6000  9000
5 3600 7200  10800
5.5 4200 8400  12600
6 4900 9800  14700
6.5 5600 11200  16800
7 6400 12800  19200
7.5 7200 14400  21600
8 8100 16200  24300
8.5 9000 18000  27000
9以上
役満
10000 20000  30000